エアコンからレアアース磁石を回収・再利用-国内での分離・精製も加速

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<磁石プロの視点>
 ダイキン工業は、信越化学工業、日立製作所、東京エコリサイクルと共同で、自社の業務用エアコンからレアアース磁石を回収し、再資源化する国内初の循環スキームの構築を開始しました。
さらに、三菱電機は、信越化学工業、エコアドバンスと連携し、廃棄された家庭用エアコンからレアアース磁石を回収・再資源化し、新しい家庭用空調製品へ再利用する自己循環リサイクルを国内で初めて開始しました。今回の取り組みは、家電リサイクル法に基づき回収したエアコンの室外機などに使われる圧縮機(コンプレッサー)からレアアース磁石を取り出すところから始まります。
 以上の動きは、日本政府の経済安全保障戦略と軌を一にするわけですが、周知のように中国のレアアース規制が続いている中で、一層のレアアースの多角的な取得が急がれています。特に、輸入先の分散、国内資源の開発、リサイクルと代替技術の推進が大きな柱になります。

 今回はこの中のリサイクルに関する発表ですが、実は重要な課題、”中国のサプライチェーンからの脱却”に向けての施策がこの中に含まれています。それは、ダイキンの計画も三菱電機の計画も信越化学工業を抜きにしては進まないことです。なぜなら、信越化学工業は中国が握る「レアアースの分離・精製」に関わる技術および設備を国内に保有する数少ない企業であり、且つレアアース磁石を製造できる企業だからです。但し、国内のレアアース磁石製造技術が世界トップに君臨していても中国のサプラーチェーンから逃れられません。したがって、これからは信越化学工業や分離・精製技術を有する企業(例えば株式株式会社三徳など)の「レアアース中流工程」の技術、設備を国内に拡大することにより、リサイクルのみならず、今後多方面から入ってくるであろうレアアース原料を国内で分離・精製・合金化・磁石製造まで行う必要があります。これらが成功することにより、はじめて中国のサプライチェーンからの脱却が可能となるでしょう。

        室外機にネオジム磁石のIPMモータを搭載したエアコン(ダイキン工業)


<ニュースリリース>2026年4月14日
業務用エアコン圧縮機のレアアース磁石リサイクルに向けた協創を開始

~AI画像認識とロボットで分解・脱磁・レアアース磁石取り出しを効率化、サーキュラーエコノミーの実現を加速~
ダイキン工業株式会社

空調事業を展開するダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)、レアアース磁石の製造・リサイクルを手掛ける信越化学工業株式会社(以下、信越化学)、資源の回収・リサイクルの技術を有する株式会社日立製作所(以下、日立)および東京エコリサイクル株式会社(以下、東京エコリサイクル)は、日本国内で修理やオーバーホールに伴い交換されるダイキンの業務用エアコンの圧縮機からレアアース磁石を回収し、再資源化する国内初の循環スキーム(以下、本スキーム)の構築に向けて、業界横断の協創(以下、本協創)を開始しました。分解・脱磁*1・レアアース磁石取り出しにAIの画像認識技術やロボットを活用して自動化し、効率化を図り、回収・分解・品質評価のプロセスを一貫したシステムでデータ管理することにより、トレーサビリティと最適化を実現します。

4社は今後、2026年中に自動化装置などの開発を進め、2027年から本スキームの本格稼働を開始する予定です。

※本スキームについて
ダイキンが、同社製の業務用エアコンの圧縮機を回収し、東京エコリサイクルが分解・脱磁、レアアース磁石取り出しを担います。ダイキンから提供される技術情報を基に、東京エコリサイクルは日立とともに家庭用圧縮機のリサイクルで長年培った技術・ノウハウに、AI画像認識技術とロボットを連動させ、型式ごとに異なる分解プロセスの効率化を図るほか、直接的にCO2を発生させない共振減衰脱磁技術*2を用いて環境負荷を低減します。そして、取り出したレアアース磁石を再生素材として、信越化学が新たにレアアース磁石を製造します。

本スキームは、レアアース磁石のリサイクルを通してサーキュラーエコノミー、およびサプライチェーンにおける環境負荷低減を促進する取り組みです。将来的には、同じく業務用エアコン事業を手がける日立グローバルライフソリューションズ株式会社などの、本協創のビジョンに賛同する企業・団体のパートナー作りなどを通して、新たなビジネスモデルとして拡大させ、エアコン業界のみならず製造業全体のGX(グリーントランスフォーメーション)に貢献していきます。

※各社のサーキュラーエコノミーに関する取り組み
ダイキンは、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを重要施策として推進しています。エアコンに不可欠な冷媒の回収・再生を最優先課題とし、安定的な循環利用に向けた体制整備を進めるほか、製品の小型化や長寿命化、使用材料の削減や材料転換など、設計・開発段階から資源循環を意識した取り組みも行っています。製品のライフサイクル全体を通じて環境負荷の低減と資源の有効活用を図り、循環型社会の構築に貢献していきます。

信越化学は、サーキュラーエコノミーを企業が取り組む重要な課題と認識しています。資源の有効利⽤によって、地球環境に貢献するだけでなく、当社の競争⼒を⾼め、永続的に発展することを目指しています。資源循環においては、お客さまや関連の業界団体とも協力し、最新の技術を駆使して使用済みの製品を回収し、資源を取り出して当社グループの製品に再利用しています。この取り組みにより、お客さまと当社グループの廃棄物を削減することができます。さらに、資源の再利用により環境の保全にも貢献しています。

日立のコネクティブインダストリーズ(CI)セクターは、幅広い産業向けの数多くのプロダクトと豊富なリサイクル経験・知見を有しており、日立グループ経営計画「Inspire 2027」において、サーキュラーエコノミーを今後の事業の中核に据え、デジタル技術も活用しながら、資源循環に関する新たなイノベーションを創出し、地球環境の維持をめざしています*3。日立のCIセクター インダストリアルソリューションビジネスユニットでは、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせた次世代ソリューション群「HMAX Industry」に注力しています。これらをコアとする「インダストリアルソリューション」の提供を通じて、お客さまのライフタイムバリューを最大化し、グローバルに産業を変革することで、豊かな社会の実現をめざします。

東京エコリサイクルは、使用済み製品を地球資源と捉え、回収した資源が効率的かつ有効に利用されることを通じて、ステークホルダーの皆様とともに、持続可能な循環型社会の構築、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みに貢献していきます。

*1 脱磁:磁石や磁性部品に残っている磁力(磁化)を取り除く工程
*2 共振減衰脱磁技術:磁石(磁性体)に交流磁界を与え、磁化の共振現象を利用しながら、その振幅を徐々に減衰させて最終的に脱磁する方法
*3 2025年6月27日日立ニュースリリースhttps://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2025/06/0627.html


※背景
2001年施行の「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」により、家庭用機器の回収・リサイクルは制度として定着してきました。一方で、業務用機器に関しては固有の法制度や回収スキームは整備されていない状況です。

近年、GX推進や資源循環型社会の実現に向け、資源のリサイクル強化の動きが世界的に加速しています。こうした中、日本国内では「資源の有効な利用の促進に関する法律」4や「GX実現に向けた基本方針」5に基づき、レアアース磁石のリサイクルを拡大する動きが加速しています。

ダイキンは、業務用エアコンの圧縮機に含まれるレアアース磁石に着目し、業界内で先駆けて、回収・再資源化の循環スキームの構築に向けた構想を打ち出しました。そして、関連する技術・ノウハウを有する信越化学、日立、東京エコリサイクルが賛同し、業種横断の本協創が開始しました。

*4 環境省「資源有効利用促進法の概要」https://www.env.go.jp/recycle/recycling/recyclable/gaiyo.html
*5 「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/dai5/index.html

ダイキン工業について
ダイキンは世界に130以上の生産拠点を持ち、170以上の国・地域で事業を展開する空調のリーディングカンパニーです。2025年3月期の売上高は4兆7,523億円、従業員は全世界で約10万人を擁しています。生活に欠かせない社会インフラである空調事業を通じて、さまざまな気候において室内の空気環境を改善し、快適な空間づくりと人々の健康に貢献しています。「空気で答えを出す会社」を掲げるダイキンは、多様なニーズや文化に対応した商品・サービスを世界に提供していきます。詳しくは、https://www.daikin.co.jp/をご覧ください。

信越化学工業について
信越化学は1926年石灰窒素事業から創業、今年100周年を迎えます。塩化ビニル事業、半導体シリコンウエハ事業、シリコーン樹脂事業などを中心に、汎用化学品から高機能化学品、電子材料まで幅広く展開しています。電子材料の一つであるレアアースは1960年代から着目し、カラーテレビの蛍光体用高純度レアアース製品の製造を開始、その後レアアース磁石のSmCo焼結磁石、NdFeB焼結磁石の製造に事業を拡大しました。現在では、省エネエアコン、ハードディスクドライブ、ハイブリッド車等の製品へ高特性レアアース磁石を供給しております。詳しくは https://www.shinetsu.co.jp/jp/をご覧ください。

日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社は618社、全世界で約28万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.co.jpをご覧ください。

東京エコリサイクルについて
東京エコリサイクルは、家電、PC/OA、医療機器、産業機器のリサイクル/リユースを専門とする循環型ソリューション企業です。古物商・高度管理医療機器等販売などの各種許認可の下で家電リサイクル法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律に準じて適正処理とトレーサビリティを徹底。コンプレッサー等に含まれるレアアース磁石の回収・素材メーカーへの還流など高付加価値の資源循環にも取り組み、循環経済の実装を通じ、脱炭素と資源の最適活用に貢献しています。

報道機関からのお問い合わせ先
ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室
本社
〒530-0001 大阪市北区梅田一丁目13番1号(大阪梅田ツインタワーズ・サウス)
TEL (06)6147-9923(ダイヤルイン)
東京支社
〒104-0028 東京都中央区八重洲二丁目2番1号(東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー)
TEL (03)3520-3100(ダイヤルイン)
E-mail prg@daikin.co.jp

<ニュースリリース>2026年6月2日
国内初 家庭用空調製品からレアアース磁石を回収・再利用する自己循環リサイクルを開始
~希少資源の有効活用により、サーキュラーエコノミーを推進~
三菱電機株式会社

   家庭用空調機器からレアアース磁石を回収・再利用する自己循環リサイクルのスキーム

 三菱電機株式会社は、信越化学工業株式会社(以下、信越化学)および株式会社エコアドバンス(以下、エコアドバンス)と連携し、廃棄された家庭用空調製品からレアアース磁石を回収・再資源化し、新しい家庭用空調製品へ再利用する自己循環リサイクルを国内で初めて開始※1しました。本スキームにより、希少資源の有効活用を通じたサーキュラーエコノミーの推進に貢献します。

 近年、レアアースなどの希少資源は、採掘量に限りがあることや、採掘時の環境負荷が高いことから、使用済み製品から回収・再利用する資源循環の仕組みづくりが求められています。一方で、家庭用空調製品からの回収は、部品の分解の難しさやコストなどの要因で回収率が低く、資源の循環利用を進める上での課題となっています。

 本スキームでは、まず、当社関係会社の株式会社ハイパーサイクルシステムズが家電リサイクル法に基づき家庭用空調製品を回収・解体し、同じく当社関係会社のグリーンサイクルシステムズ株式会社が、回収・解体された部品のうち圧縮機を分解してローター部品※2を取り出します。次に、エコアドバンスがローター部品からレアアース磁石を取り出し、信越化学がレアアース磁石からレアアース※3を分離・精製して再資源化します。その後、再資源化されたレアアースを使用したレアアース磁石を当社が家庭用空調製品に再利用します。この一連の流れを当社が一貫して管理することにより、家庭用空調製品の回収からレアアース磁石の製品への再利用までの円滑な循環と効率化を実現しています。

 本スキームで再利用するレアアース磁石は、当社が国内で家庭用空調製品を製造する際に使用するレアアースの約35%(重量ベース)※4を見込みます。

 今後は、レアアース磁石を使用する業務用空調製品やその他の当社製品についても、それぞれの回収ルートに応じた資源循環スキームの構築を目指します。サーキュラーエコノミーの取り組みを一層推進することで、希少資源の有効活用と環境負荷低減の両立に貢献していきます。

※1 2026年6月2日時点、家庭用空調分野において。当社調べ
※2 モーターの回転子側を構成する部品群(シャフト、鉄心、磁石など)
※3 回収するレアアースは、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)の4元素
※4 当社が国内で家庭用空調製品を製造する際に使用するレアアースの内、ジスプロシウム(Dy)とテルビウム(Tb)を対象に試算

お客様からのお問い合わせ先
三菱電機株式会社
調達統括部
戦略購買部
〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
E-mail:spd-m.contact@nb.MitsubishiElectric.co.jp

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