<最大エネルギー積と角形比>
「最大エネルギー積(BH)max 」が大きい磁石ほど、「角形比 = Hk/Hcj」 が1に近い磁石ほど優秀な磁石といえる。
永久磁石の強さ、優秀さの基準の一つに「最大エネルギー積・(BH)max」という磁気特性があります。これは、磁石が持つエネルギーの大きさをあらわし、B-H減磁曲線上の磁束密度Bと磁場Hの積の最も大きな数値を指します。SI単位ではkJ/m3、CGS単位ではMGOeで表します。
B-H減磁曲線で考える最大エネルギー積が大きな磁石というのは、Br、Hcbが大きく且つB-H曲線がなるべく直線的で45度に近い角度を有する磁石ということになります。これをJ-H減磁曲線で言い換えると、Jr、Hcjが大きく、且つJ-H曲線が四角形に近いつまり「角形性(角型性)」が良い磁石ということにもなります。ネオジム磁石やサマコバ磁石が強力なのは、このように残留磁束密度や保磁力が大きく、J-H減磁曲線の角形性が優れているためです。
後の章でお話をしますが、この最大エネルギー積になる磁束密度を動作点とする使い方をすると、磁石のエネルギーを最大に引き出すことができます。
また、J-H曲線上でBr値の90%になる磁場の値を便宜上Hkとして、Hcjに対するHkの割合(Hk/Hcj)をJ-H曲線の角形性の評価とする場合があります。もし、J-H曲線が理想的な四角形であれば、「角形比(角型比)」は1になるわけです。
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