【産総研の永久磁石研究開発-2】*産総研ホームページより
<新しい永久磁石を作る先端粉末冶金技術の開発>
現行ネオジム磁石を超えるためには既存プロセスはすでに限界に達しています。これまでにない高保磁力化には、粉砕法では得られない超微細かつ球状の原料粉末が必要です。また、現行の飽和磁化の壁を破るには、合成の難しい非ネオジム系磁石化合物を単結晶粉末として得る必要があります。そして、非ネオジム磁石は難焼結性であり、かつ僅かな酸化で激しく性能劣化するため、粉末を一度も酸化させることなく高密度に焼結しなくてはなりません。このように、ポストネオジム磁石創製のカギは「新たな粉末冶金技術の創製」にあります。そのために、
- 高品質なサブミクロン希土類磁石粉末が合成できる化学的粉末合成法(還元拡散法)を開発しています。
- 希土類合金のナノ粉末の合成が可能となる物理的粉末合成法(熱プラズマ法)を開発しています。
- 酸素濃度0.5ppm以下で微粉砕ー圧粉成形ー焼結できる低酸素環境粉末冶金プロセスを開発しています。また、金属粉末表面に酸化物層を介すことなく異種材料をコーティングできる技術も開発しています。
- 結晶方位制御などの高度な組織制御を目指し、粉末圧延などのせん断力や大変形を利用した粉末成形技術を開発しています。
<磁石プロの視点>
ネオジム磁石を超える強力な永久磁石を実現するには、理論磁気特性の高い化合物を見つけ、見つけた化合物を実用化永久磁石として完成させるための新たな製法開発が必要です。
前回も触れましたが、今までの磁石開発の歴史の中で、永久磁石を実用的な性能にするには、飽和磁化MSはもちろんですが、保磁力Hcjをいかに高い値にするかが重要だということが分かっています。もちろん異方性磁場HAが大きいことが重要ですが、その特性を磁石として具現化するためには、均一で且つ微細な単磁区粒子を作ることが鍵となることが分かってきています。その意味では、本研究は次世代磁石開発の大きなブレークスルー技術として期待できるでしょう。
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