<Dy粒界拡散技術>
逆磁区の発生し易い粒界近傍に異方性磁場HAを高めるジスプロシウムを集中させ、主相は低ジスプロシウム組成にして高Brにする技術・Dy粒界拡散法が実用化されている。代表的な製法に、「焼結後Dy塗布熱処理法」、「微粉砕分散コーティング法」、「Dy蒸着法」などがある。
次に、ジスプロシウムを低減させる方法として、逆磁区の発生し易い粒界近傍に異方性磁場HAを高めるジスプロシウムを集中させ、主相は低ジスプロシウム組成にして高Brにする技術が実用化されています。
Hcjを低下させる逆磁区の発生は焼結体の結晶粒界に集中しやすいため、ジスプロシウムを粒界になるべく集中させて、結晶粒内部はジスプロシウムを減らした組成にしてBrを高めておきます。そうすれば、ジスプロシウム濃度の高い領域を狭くすることができて、HcjやBrを低下させることなくトータルのジスプロシウムを減らすことができます。
この結晶粒界にジスプロシウムを集中させる方法は色々ありますが、ひとつは、粒界拡散合金法や微粉砕分散コーティング法などと呼び、合金組成と粉砕工程を工夫して、主相合金の粉体の周りにジスプロシウムが多い細かい合金で覆い、焼結工程で主相の表面近傍だけにジスプロシウムを拡散させる方法が実用化されています。
そのほかの方法としてはジスプロシウムを焼結体表面に塗布したり、蒸着してその後熱処理拡散する方法なども採用されています。
このようにして、ジスプロシウム量を前ページの結晶微細化・低酸素化技術からさらに20~30%ほど低減させていますので、2016年現在は2013年前後のネオジム磁石より、トータルで30~50%のジスプロシウム含有量が低減されています。なお、最近は中国メーカーも同様な技術を導入し始めているようです。
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