<低Br・高Hcj磁石の形状と不可逆減磁>
このEH材質は、不可逆減磁率が10%以内であれば容認するとして、パーミアンス係数が0.5以上であれば250℃使用は問題ないといえる。一方、0.2では150℃から200℃の間の使用が限界となる。いずれにしても、かなり薄い形状を別にすればほとんどの形状で200℃~250℃の高温使用に耐えられる材質だということがわかる。わずかでも不可逆減磁を避けたい場合は、使用予定最高温度での「熱からし」を推奨する。
前ページでNeo38EH材の減磁曲線とパーミアンス係数の関係から不可逆減磁を予測しましたが、グラフで確認してみましょう。
10%以内の不可逆減磁率を容認するとすれば、パーミアンス係数が0.5以上であれば250℃使用は問題ないようです。一方、0.2では150℃から200℃の間の使用が限界といえます。
いずれにしても、かなり薄い形状を別にすればほとんどの形状で200℃~250℃の高温使用に耐えられる材質だということがわかります。
以上で磁石の形状・パーミアンス係数と温度の関係による不可逆減磁の話は終わります。
ここで覚えておいて欲しいことは、まず、測定サンプルのBrやHcjが規格値どおりであっても、実製品の減磁曲線の角形性は製品ごと、合金ロットごとにある程度のバラツキがあり、同じような形状、同じようなパーミアンス係数でも動作点にある程度のバラツキがあるということです。
もう一つは、どんなにパーミアンス係数やHcjに余裕があっても高温使用になるほど、初期減磁を含め、数%以内の不可逆減磁はさけられないということです。
したがって、高温度での使用を考えられている場合は、カタログ値以上に、余裕をもった形状選択、材質選択をすることをおすすめいたします。
なお、実使用での不可逆減磁をわずかでも避けたい場合は、先にもお話をしました、「熱からし」が効果的な方法です。
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