<磁石プロの視点>
すでに皆様はご存じかと思いますが、2月2日、内閣府は南鳥島の深海6000mの試掘により、「レアアース泥」の回収に成功した旨を発表しました。この試掘成功により、2028年度以降の商業化を目指しての技術・採算性の検証が急速に進められるものと思われます。
一方、レアアースの話題の陰であまり目立ちませんが、実は、南鳥島近海では「マンガン団塊」の試掘、回収も成功しています。この日本の海底に眠るマンガン団塊は、試算によると「2億トン」を超える規模であり、共含されるコバルトは日本の国内消費量「75年分」に相当するといわれています。
少し前になりますが、2024年2024年6月に発表された内容によると、日本財団と東京大学の合同プロジェクトによると、深海5,500mからのマンガン団塊を回収に成功しただけではなく、次の1日数千トンのマンガン団塊を揚鉱する実証試験が計画されており、2026年以降から、大規模採取を目指すための本格的なプロジェクトがスタートします。
このように南鳥島周辺海域では、マンガン団塊だけでなく、コバルトリッチクラストや先に述べたレアアース泥も確認されています。したがって、南鳥島近海は、複数の戦略資源が入り混じって存在する世界的にも貴重な海域であり、資源の乏しい日本の将来の経済・産業を支える大きな可能性を持っています。
今後、多くの技術課題や国際的な課題を乗り越え、これらの資源が工業界に投入され、商業ベースに乗れば、日本は長年続いてきた「資源輸入国」から、「海洋資源大国」へと変貌することになります。
レアアース泥もマンガン団塊も商業化は10年近く先になるかもしれませんが、日本国民とって、夢のような話が現実になりつつあることを思えば、ほんとうに素晴らしいことです。これらのプロジェクトに携わっている機関、団体、研究者、技術者の方々のさらなる活躍を応援しましょう。
<ニュースリリース>日本財団・東京大学 2024年6月21日
南鳥島近海における海底鉱物資源の調査速報
レアメタルを豊富に含むマンガン団塊が2.3億トン
コバルトの資源量は日本の年間消費量の75年分以上
日本財団と東京大学大学院工学系研究科は、日本の排他的経済水域内(南鳥島周辺海域)において、レアメタル(希少金属)を豊富に含むマンガンノジュール(マンガン団塊)(※1)が、高密度で広範囲に分布する有望海域を特定しました。
有望海域におけるマンガンノジュールの資源量は2.3億トン以上と推計され、採取したノジュールの分析から、コバルト(※2)は国内消費量の約75年分以上、ニッケル(※3)は約11年分以上の資源量を見積っています。

2023年6月より南鳥島周辺海域におけるマンガンノジュールの揚鉱(※4)実証試験及び社会実装に向けた検討を進めてきましたが、この度、揚鉱実証試験の事前調査として、2024年4月下旬より47日間にわたる調査航海を実施、資源量や資源分布等の精密調査と、環境影響評価に向けた基礎調査を行っており、その速報を発表したものです。
今回の調査航海の結果をもとに、揚鉱実証試験に向けた準備を進めるとともに、商用化を目指す産官学プラットフォームとしてコンソーシアム等の推進体制を構築していく計画です。



<マンガン団塊の成分>
マンガン団塊(マンガンノジュール)は、海水や堆積物中の金属成分が、岩石や魚の骨などの核を中心に数千万年かけて沈積して形成されたものです。
マンガン(約20〜30%)と鉄を主成分とする黒褐色の酸化物で構成されています。主な成分は次のようになります。

<用語解説>
※1 マンガンノジュール(マンガン団塊):海底鉱物資源の一つで、電気自動車やスマートフォンなどのハイテク製品に使用されるレアメタルを含む鉱物を指す。マンガン団塊。
※2 コバルト:携帯電話、ノートパソコン、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池の正極材原料として重要。そのほか、高速度鋼や耐熱鋼などの特殊鋼添加剤や、サマリウム-コバルト磁石などの磁性材料として使われています。
※3 ニッケル:クロムなどとの合金によるステンレス鋼や耐熱鋼などが最大の用途。また、最近はコバルト同様リチウムイオン電池の正極材原料としての用途も拡大しています。
※4 揚鉱(ようこう):海底の鉱物資源を海上に引き上げること


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