【産総研の永久磁石研究開発-3】*産総研ホームページより
<高品質なサブミクロンサイズ希土類磁石粉末の合成>
磁石粉末において粒子径は重要なパラメータとなります。特に粒子径をサブミクロンサイズまで微細化することで、これまでにない高い保磁力の磁石粉末の実現が期待されます。当グループでは化学的粉末合成法(還元拡散法)の研究を行っており、前駆体酸化物合成-水素還元-還元拡散-(窒化)-洗浄のそれぞれのプロセスを開発することで、粉砕することなく図のような高品質なサブミクロンサイズ希土類磁石粉末を合成する技術を構築しています。
<磁石プロの視点>
希土類磁石は通常異方性磁石として製造されます。したがって、次図のように材料粉末一つ一つは単磁区粒子に近い形であることが要求されます。
そして、次図のような異方性磁石となるように成形、焼結されます。
高性能な異方性磁石とするには、焼結体の結晶粒ができるだけ小さく、細かいこと、および高配向度(配向度=磁化容易軸方向に結晶が揃っている割合)を得るために成形前の材料粉体の結晶歪が少ないことなどが必要です。いずれも、磁石の磁気特性Hcj、Jr(Br)などにかかわってきます。
従来の微粉体を得る方法では、ジェットミルなどを使い機械的衝撃を合金に与えて粉砕していました。この方法では粉体の直径を平均4~5μm程度にすることがせいぜいであり、しかも粉体にかなりの歪が入ります。
したがって、本開発のような、歪のない、サブミクロン(1~3μm)の粉体を作る方法は、高性能磁石の実現には不可欠な技術となります。
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