去る8月24日(土)、アートホテル日暮里ラングウッドにおいて開催された「NS会2024」に参加してまいりました。参加人員は45名でした。
NS会とは、永久磁石関連の企業・公的機関の研究者、技術者およびそのOBを中心とした複数名の発起人により約20年前に発足した私的な会であり、「磁石をこよなく愛する方々のみが集まる会」としてほぼ毎年開催されています。
残念ながら、コロナ禍で5年間中断していましたが、今回再開世話人様のご尽力により再開されることになり、前記のようなスケジュールで、14回目として開催されました。
前列左から2番目が筆者、7番目が佐川博士(再開世話人福田様ご提供)
今回の大きな目玉は、ネオジム磁石の生みの親である佐川眞人博士(NDFEB㈱代表取締役、大同特殊鋼㈱顧問)による講話「ネオジム磁石発明から40年」であり、ネオジム磁石発明のきっかけや当時の裏話などを交えて1時間ほどの間、大変貴重な、且つ興味深いお話を聞くことができました。また、佐川先生の国内外の数々の受賞についても詳細なご紹介があり、それらを考えると、残るはノーベル賞だけではないかと期待してしまいます。
私個人としても、佐川先生とは旧知の仲でもあり、会場の懇親会や二次会において、久しぶりに直接佐川博士と懇談することができました。講話や個人的な懇談の中で、現在、永久磁石について佐川先生が取り組まれていることをいくつか聞くことができました。以下、その概略になります。
1,超微粒子化により、重希土類(Dy、Tbなど)非含有で且つ50MGOe以上のNd磁石の量産化。
2,加工工程を省き、限りなく最終製品に近い形にする「ニアネットシェイププロセス」の完成。
3,薄型Nd磁石の積層化によるEVモータ用低渦電流損失磁石の開発。
4,リサイクル磁石の開発。
講演中の佐川博士(IRUNIVERSE㈱棚町様ご提供)
さらに、将来の高性能永久磁石については、
「Nd磁石の工業化成功は、高性能磁気特性化合物の発見と複雑な状態図の解析による金属組織の安定化によるところが大きい。したがって、Nd磁石以上の超高性能磁石を工業化するには、新化合物の追求だけでなく、安定した結晶組織にすることが肝要である。したがって、今後とも、Nd磁石を凌駕する量産可能な新永久磁石の出現は、当分の間(20年かもしれないし、100年かもしれない)難しいと思われる。」とのことでした。
最後に、会場は「磁石をこよなく愛する」参加者の皆様が、磁石の現状や将来について、和気あいあいの中でも真剣な議論を戦わせていたことが印象的でした。
以上、「NS会2024」の参加ご報告といたします。
2024年8月30日 ネオマグ株式会社
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