<結晶の微細化と低酸素技術>
国内各メーカーはネオジム磁石のHcjを低下させることなく、いかにジスプロシウムDy(またはテルビウムTb)の含有量を減らせるかを考えてきた。その方法のひとつとして焼結体の結晶粒を微細化するとHcjが増大することに着目して技術開発を行った。その結果、材料粉をより小さく細かくしながらも粉砕工程や成形工程で酸素量を徹底的に低く抑え(低酸素化)、焼結体の結晶粒を小さくする(結晶微細化)技術に成功した。この技術によりジスプロシウム量は約10~20%ほど低減できたといわれている。
国内各メーカーは数年前から、ネオジム磁石のジスプロシウム含有量を増加させることなく、いかにHcjを増大できるかを考えてきました。各メーカーはその方法のひとつとして焼結体の結晶粒を微細化するとHcjが増大することに着目して技術開発を行いました。その概略ですが、まず焼結前の材料粉体の形状をいかに小さくするかという粉砕技術の改良をおこないました。また、粉体を細かくすることは粉の表面積を増やすことなので、より表面が活性化して空気中の酸素と反応しやすくなり、酸化物が増加します。酸化物が増加すると、Hcjだけでなく、磁束密度も低下させます。したがって材料粉をより小さく細かくしながらも粉砕工程や成形工程で酸素量を徹底的に低く抑え、焼結体の結晶粒を小さくする技術を開発したのです。
この技術によりジスプロシウム量は約10~20%ほど低減できたといわれています。
図をみていただくと、模式的ではありますが、粉体の平均粒径を小さく、且つ粒度分布を狭くさせた結果と焼結体の結晶粒径も細かくなったことがグラフと顕微鏡写真でわかると思います。
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