73.高Br・低Hcj磁石の形状と不可逆減磁

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<高Br・低Hcj磁石の形状と不可逆減磁>
このグラフから、大きなBHmaxと大きなBrを持ったネオジム磁石は保磁力Hcjが相対的に小さく、80~100℃の温度での使用が必要な場合は、なるべく磁化方向の厚みを厚くした形状にした方が良いということがわかる。当然150℃以上の使用はさけなければならない。また、比較的低い温度での使用でも強い「逆磁場」がかかるような磁気回路では低Hcj材質の磁石使用は動作点が単体磁石より低い方に移行し、予期せぬ不可逆減磁の可能性があるので注意を要する。温度に対しての安定性を得るために使用予定最高温度での「熱からし」が有効である。

これらのデーターはNeo50材の円柱型磁石直径10mmでパーミアンス係数の変化と不可逆減磁の関係を磁化方向の厚みを変えた磁石で調べたものです。磁石厚み2mm、パーミアンス係数0.5では100℃使用では不安定で、せいぜい50℃前後までしか安心して使えません。厚み4mm、パーミアンス係数1.0では100℃までは持ちこたえますが150℃では10%の低下で心配です。厚み7mm、パーミアンス係数2.0では5%の不可逆減磁を覚悟すればなんとか使えることがわかります。

これらのことより、大きなBHmaxと大きなBrを持ったネオジム磁石は保磁力Hcjが相対的に小さく、80~100℃の温度での使用が必要な場合は、なるべく磁化方向の厚みを厚くした形状にした方が良いということになります。当然150℃以上の使用はさけなければなりません。

また、比較的低い温度での使用でも強い逆磁場がかかるような磁気回路では低Hcj材質の磁石使用は動作点が単体磁石より低い方に移行し、予期せぬ不可逆減磁の可能性がありますので注意を要します。
さらに、熱硬化性の接着剤を使う場合は熱硬化温度に対しても条件によっては不可逆減磁が起きる可能性がありますので十分注意してください。

なお、熱による不可逆減磁はその後それ以上の温度にならなければ減磁は進行しません。
したがって、磁石の温度に対しての安定性を得るために、意図的に高い温度に暴露する場合があります。このような処理を「熱からし」と呼んでいます。

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