65.永久磁石の吸着力・吸引力の近似式

この記事は約3分で読めます。

<電磁石の近似式を利用する>
次式を式を永久磁石にあてはめると、実際にはKの設定が難しく誤差が大きいが、弊社のテストではKの値を3.5~4.5あたりにすると、目安としての利用はできそうである。

電磁石の吸着力・吸引力の近似式

<既知の磁石の磁束密度と極面積の比較による方法>
吸着力・吸引力は磁束密度Bgの二乗に比例し極面積Sに比例することおよびB(X)(=Bg)を求める近似式を利用して、既知の磁石との比較で、吸着力・吸引力を推定できる。
(例)
◆10mm(Φ)x10(h)mm形状の円柱型磁石No.1をスタンダード磁石とする。
 この磁石の実測値は表面磁束密度 B1=500 (mT)、鉄板への吸着力 F1=30 (N) となる。
 
極面積 S1 = π x (Φ/2)2 = 78.5mm2

◆20mmx20mmx10mm(h)の角型磁石No.2(材質Br=1260 (mT)の吸着力を予測計
算してみる。先の近似計算により、この磁石の表面磁束密度B2=約400 (mT)となる。
  極面積S2=400mm2、この角型磁石の鉄板への吸着力を近似計算すると
 
F2 = (B22 / B12) x (S2/S1) x F1 = (4002 / 5002) x  (400 / 78.5) x 30 
≒ 98 (N)
 
 と予測できる。

この式は吊り上げ用電磁石や磁力応用工具などで良く使われる簡易計算式ですが、誤差も大きいため目安としての使われ方をされているようです。ここでは、この式が導き出された計算過程については省略いたしますが、この式を永久磁石にあてはめるとどうなるか検証してみました。
すると、やはり誤差はかなりありますが、定数Kを4前後に設定しますと、ある程度、吸着力、吸引力を予測可能なことがわかりました。もし可能であれば皆さんも検証してみてください。

次に、もう一つの吸着・吸引力を予測する簡単な方法をお話いたします。
それは、あらかじめ形状、表面磁束密度、鉄板への吸着力が測定されている磁石を標準磁石として比較計算する方法です。
このページに示しましたように、吸着力は「磁束密度Bg」の二乗に比例し「極面積S」に比例することを利用します。まず、標準磁石とする磁石の極面積を算出し、次に表面磁束密度と鉄板への吸着力を測定しておきます。そして、吸着力を知りたい磁石の残留磁束密度Brから表面磁束密度または空間磁束密度を前の章でお話をしました近似計算で算出します。形状が分かれば磁石の極面積もわかります。
すると、標準磁石の鉄板への吸着力F1に極面積の比および磁束密度の二乗の比を掛ければ、知りたい磁石の鉄板への吸着・吸引力F2が算出できるわけです。この方法も是非一度試してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました