62.永久磁石のギャップ距離と吸引力

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<磁石-磁石間・磁石-鉄板間の吸引力>
基準磁石からのある距離の吸引力は、鉄板が置かれている場合、磁石が置かれている場合で異なってくる。相手が同じ磁石の場合は、距離が1/2になった場合の鉄板に対する吸引力と同じ大きさになる。したがって、
吸引力の大きさは、磁石と鉄板間<対向した磁石間、となる。
ただし、距離がゼロ(互いにくっついた状態)ではほぼ同じ吸引力である。
また、磁石の裏側に鉄板をつけると、磁石の厚みが2倍になったと同様の吸引力を得られる。

永久磁石のギャップ距離と吸引力

次に、単体磁石と鉄板、バックヨーク付磁石と鉄板、NS向い合せた磁石と磁石の3種類の組み合わせについてその吸引力を調べてみました。サンプルはネオジム磁石の角形・長方形を選んでみました。データはすべてモレ磁束ゼロを仮定した近似計算によるものです。

まずギャップ距離ゼロでの比較をしてみましょう。
ここで、皆さんが以外に思われるはずですが、距離ゼロではAの単体磁石と鉄板の吸引力とCの磁石同士の吸引力は同じになります。この理由は、磁束密度の比較の場合と同様、距離ゼロでは鉄板が相手の磁石により磁化して、ほぼ同じ性能の磁石となるためです。

次に同じ距離ゼロではバックヨークを付けた磁石Bが最も吸引力は強くなります。これはバックヨークの鉄板が磁石により磁化してやはり同じ磁石になり、その結果厚みが2倍の磁石と同等になってパーミアンス係数が大きくなったためです。

今度はギャップ距離が拡がった場合をみてみましょう。
鉄板の吸引力は単体磁石Aより、バックヨークを付けた磁石Bの方が距離ゼロに続いてギャップ距離が大きくなっても強いことがわかります。ただし、距離が大きくなるにつれ、その差は小さくなってきます。厚みが2倍になったアドバンテージは徐々に減ってきています。

次にNS向い合せた磁石同士のCをみると、距離ゼロでは単体磁石と鉄板の組み合わせAと同じ吸引力であったのが、ギャップが拡がるとはっきりその差がでてきます。空間磁束密度のページでご説明しましたように、向かい合った磁石同士では磁束のモレがないとすれば、その中間点の空間磁束密度は片方の磁石からみるとその位置に鉄板があるのと同じ値になります。したがって、NS向かい合った磁石同士の吸引力は、磁石間距離の2分の1の距離の磁石単体と鉄板の吸引力と同等になります。
例えば、図に示しましたように、磁石と鉄板の距離が5mmと磁石と磁石同士の距離が10mmとはほぼ同じ吸引力になります。

なお、NNまたはSS対抗の場合は、NS対向とは逆に反発力になり、磁束のモレがないとすれば磁石同士の力は同様な関係がなりたちます。

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