58.永久磁石の動作点とパーミアンス直線

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<動作点とパーミアンス直線>
B-H減磁曲線の原点と曲線上のBd、Hd点を通る直線は「パーミアンス直線」と呼ばれ、この直線の傾きがパーミアンス係数になる。逆に、磁石形状によるパーミアンス係数が分かればパーミアンス直線を引くことができ、B-H減磁曲線との交点の「動作点」を求めることができる。
Bdは全磁束量(トータルフラックス:Φop)を磁石の極断面積Aで除した数値となる。
SI単位   : Bd(T) = Φop(Wb)/A(m2)
CGS単位: Bd(G) = Φop(Mx)/A(cm2)

B-H減磁曲線上の動作点とBdおよびHdの関係

「永久磁石の動作点」とは磁石単体の場合、磁石の形状(寸法比)によって決まる反磁場の大きさによってその磁気的な動作が決まるBH減磁曲線上の位置(座標)を表します。結果としては「パーミアンス直線とB-H減磁曲線との交点」として決まる点の座標であり、その点での磁束密度を「動作点の磁束密度(Bd)」、その点での磁場を「動作点の磁場Hd」といいます。
B-H曲線上の動作点の位置によって、磁気回路における磁束密度や磁石の安定性が推測できます。パーミアンス係数が大きいほど、反磁場は小さいわけですから、動作点の磁束密度(Bd)は大きな値となります。パーミアンス係数が無限大、つまり反磁場がゼロであれば原理的には、動作点の磁束密度(Bd)=残留磁束密度(Br)となります。

また、動作点の磁束密度(Bd)= 全磁束量(トータルフラックス)/磁石の断面積
 という関係にもなります。いいかえれば

 全磁束量(トータルフラックス)=動作点の磁束密度(Bd)X磁石の断面積
ですから、BH曲線とパーミアンス係数、磁石の断面積がわかれば、測定しなくても、ある程度トータルフラックスが予測可能だということです。

なお、永久磁石の磁力を最も有効に使いたいという場合は、B-H減磁曲線上の動作点Pを(BH)maxの点、すなわちそのBd x Hdが最大になる点を選べばよいわけです。いいかえれば、その動作点になるようなパーミアンス係数・寸法形状を選ぶことになります。

なお、弊社のホームページでは、パーミアンス係数(Pc)、動作点の磁束密度(Bd)、トータルフラックス(Φop)の概算値が算出できるようになっていますのでご利用ください。

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