21. ネオジム磁石の結晶構造と基本磁気特性(2)  

この記事は約2分で読めます。

<強力磁石になるための基本磁気特性>
異方性磁場は一軸結晶磁気異方性を有する磁性体において、磁化困難軸方向に外部磁場を加えて
磁気モーメント」を強制回転させ、最終的に磁気モーメントが磁場方向に平行になって磁化が飽和した時の磁場の強さで表す。つまり、「磁化容易軸方向」と「磁化困難軸方向」の磁化曲線が一致した磁場を「異方性磁場HA」という。この値が大きい磁性材料は、永久磁石にした時に大きな保磁力Hcjを持つ可能性が高い。

前のページで強力な永久磁石である三つ目の要件として「保磁力Hcj」が大きいことをあげました。
このHcjの大きさを左右する基本的な磁性が「異方性磁場HAで、「異方性磁界」ともいいます。
このページの図表はこの異方性磁場HAについてあらわしています。

左上の図は一軸結晶磁気異方性を持ったコバルトの磁化しやすい「磁化容易軸」方向に磁界を加えた場合と磁化しにくい「磁化困難軸」方向に磁界を加えた場合の「磁化曲線」です。
見てお分かりになると思いますが、磁化容易軸方向は外部磁界を少し加えただけで磁化は飽和します。一方磁化困難軸方向に磁界を加えた場合は磁化しにくく、磁化を飽和させるには大きな外部磁界が必要なことがわかります。

このように、「一軸結晶磁気異方性」を有する磁性体において、磁化困難軸方向に外部磁場を加えて磁気モーメントを強制回転させ、最終的に磁気モーメントが磁場方向に平行になって磁化が飽和した時の磁場の強さを異方性磁場と言います。つまり、磁化容易軸方向と困難軸方向の磁化曲線が一致した磁場が異方性磁場であるということにもなります。この値が大きい磁性材料は、永久磁石にした時に大きな保磁力Hcjを持つ可能性が高いと言えます。

右の表のように異方性磁場は5MA/m以上の値になる磁性材料は大きな保磁力Hcjを持つ可能性が高く、永久磁石に向いている材料だと言えますので、この表にある希土類化合物はその要件を満たしていることになります。

したがって、前のページから考えますと、飽和磁化Isが高く、室温以上のキュリー温度Tcを有し、十分大きな異方性磁場Hを持つNdFe14B化合物が非常に優秀な永久磁石となりえたわけです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました