14.永久磁石の磁力は原子の中の電磁石から

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<原始の中の小さな電磁石>
永久磁石・強磁性体の磁力は原子の中の小さな電磁石が作っている
鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)は不対電子(磁性電子)のスピンによる「スピン磁気モーメント」の発生により「強磁性体」になる。
ネオジム(Nd)やサマリウム(Sm)はそのままでは非磁性体だが、鉄やコバルトと化合物を作るとお互いの「磁気モーメント」が揃い、量子力学的な「交換相互作用」により強磁性体になり、且つ大きな異方性定数を持つなど永久磁石としての有利な性質を獲得した。

前2ページでお話をしましたように、コイルと電流(つまり電子の流れ)の関係と同様、電子が回転すると回転軸に沿って電流が流れることになり、電子自体が磁石になり得る「スピン磁気モーメント」という理論が1925年、アメリカの物理学者により発表されました。その他原子核の核磁気モーメントや電子の軌道磁気モーメントがありますが、このスピン磁気モーメントこそが、磁性の主な源であったわけです。
わかりやすく言い換えれば、“永久磁石や強磁性体の磁力は原子の中の電子の回転による小さな電磁石の集合が作っている”ということになるわけです。

なお、ネオジム(Nd)やサマリウム(Sm)は鉄やコバルトよりもさらに外側のN殻に不対電子がありますが、最外殻にあるためスピン磁気モーメントはあらわれず、そのままでは非磁性体です。しかし、鉄やコバルトと化合物を作るとお互いの磁気モーメントが揃い、量子力学的な「交換相互作用」により強磁性体になり、後の章で説明しますが、大きな異方性定数を持つなど永久磁石としての有利な性質を獲得したことにより強力な永久磁石になりました。

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