07.各種基本法則の発見-発電機・電動機の発明へ

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<電磁気学の夜明け>
1820年はまさに電磁気学の夜明けといっても良い年になりました。
エルステッドが「電流の磁気作用」を発見し、「アンペール」が電流の向きと磁束の方向の関係を示す
右ネジの法則を発表しました。

  エルステッドの実験(1820年)     アンペールの右ネジの法則(1820年)   

<ファラデーの電磁誘導の法則(1831年)>
電流の誘導は、閉じた回路内の磁界が時間的に変化することによって発生した起電力によるものである。一つの回路に生じる誘導起電力は、その回路を貫く磁束数が時間的に変化する割合に等しい。

         e = - n(dt/dΦ)  (n:巻数)

<ヘンリーの自己誘導作用(1832年)>
コイルに流れる電流が変化するとき、その電流が作り出す磁界の変化を打ち消そうとする起電力が生じる。
        
 e = - L(dI/dt)  L:自己インダクタンス

1820年はまさに電磁気学の夜明けといっても良い年になりました。
デンマークの物理学者ハンス・クリスチャン・エルステッドは、ボルタ電池を使い電流の実験をしていた際に、導線に電流が流れると、近くに置いた方位磁石が振れることを見つけ、「電流の磁気作用」を論文として発表し、世界中の科学者の注目を浴びました。なお、エルステッドは文学にも造詣が深く、同じデンマークの童話作家アンデルセンの良き理解者でもあり、生涯支援を惜しまなかったといわれています。フランスのアンドレ・マリー・アンペールはエルステッドの報告を知ってからその年のわずかな期間で、“アンペールの法則“を見つけ、数式でも記述しました。この一連の法則の中に有名な「右ネジの法則」も含まれますが、当初は水泳の「泳者の法則」と呼ばれていたようです。アンペールはこの法則を含め、得意の数学により電流の磁気作用を数式化して、電気力学の基礎を作り上げました。
ふたりの功績は磁場の単位の「Oe(エルステッド)」および電流の単位の「A(アンペア)」として、現在も称えられていることは、皆さんの良く知るところです。

なお、同年にはフランスのジャン・バチスト・ビオフェリックス・サバールが、アンペールの法則の普遍化版ともいうべき「ビオ・サバールの法則」を発表しました。

その他、イギリスのマイケル・ファラデーはエルステッドやアンペールの発見を参考に、さらに色々な実験を繰り返し、1831年「電磁誘導の法則」を発表しました。
この実験の過程で、ファラデーはリング状の軟鉄にコイルを巻き付けた、世界で最初の変圧器の発明もしていました。その一年後1832年、米国のジョゼフ・ヘンリー「自己誘導作用」の発見をして、この二人の功績により、のちにコンデンサーの静電容量の単位にF(ファラッド)、コイルの自己インダクタンスの単位として「H(ヘンリー)」が用いられるようになりました。

さらに、1834年にはドイツのハインリッヒ・レンツ「レンツの法則」を発表し、これらの発見により電磁気学の急速な進展と、電気と磁気の実用化に向けての大きな第一歩を踏み出したわけです。

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